レセコン「ORCA」とは

目次

ORCAは、日本医師会が提供している「日医標準レセプトソフト」です。さまざまなメーカーが手がけるレセコンの中でもシェア率が高く、多くの医療機関で利用されています。こちらでは、医療IT化や医療情報の標準化を進める目的で立ち上げられたORCA ProjectおよびORCAについて解説します。

ORCAプロジェクトとは

レセコンに互換性がない・既成のレセコンは高額などの課題

全国約10万カ所の医療機関のうち、8割以上が、毎月の診療報酬請求を処理するため専用コンピュータ(レセコン)を導入していますが、医療情報関連のシステムメーカーは200以上あり、それぞれが独自にレセコンの開発を進めたため、データの形式(フォーマット)にはほとんど互換性がありません。このため、ネットワーク化も困難な状況です。

また、既成のレセコンは、民間企業主体で開発・販売されており、メンテナンス費用を含めると、一般のパソコンやワークステーションに比べ高額になります。

IT化と標準化が急務→日医IT化宣言

このような背景から、日本医師会は2001年、医療のIT(情報技術)化と標準化が急務と考え、土台となるネットワークづくりを行う日医IT化宣言を出しました。まず各医療現場に標準化されたオンライン診療レセプトシステムを導入し、互換性のある医療情報をやりとりできるようにする計画を推進しました。

そして、この計画のために日医が開発したプログラムやデータベースはすべて無償で公開し、医療現場の事務作業の効率化を図り、コストを軽減させ、誰もが自由に利用できる開放的なネットワークを形成し、国民に高度で良質な医療を提供することを目指すことを宣言しています。

オープンソースとして作成できるレセコン「ORCA」の登場

日本医師会は、日医IT化宣言に基づき、進化型のオンライン診療レセプトコンピュータシステム(ORCA)を開発しました。このソフトは「日医標準レセプトソフト(略称:日レセ)」と呼んでおり、無償で公開されています。

ORCAプロジェクトによるメリット

日医IT化宣言に基づいて立ち上げられたORCAプロジェクトにより、日本全国すべての医院、医療機関で、だれでも自由に使い、しかも改良可能なオープンソースなレセコンソフトを無料で使用できるようになりました。また、新しい情報や緊急安全情報等がオンラインで提供され、マスタの更新も、インターネットを通じて簡単に入手できます。

ORCAには歯科向けの機能がない

日医IT化宣言に基づいて日本医師会で開発され、無償で公開されているORCAですが、現在は歯科向けの機能は存在していません。歯科用レセコンも、ORCA登場前の医療用レセコンと同じく、メーカーごとに独自に開発され、それぞれに互換性がなくネットワーク化も困難な状態であるため、早期のIT化が待たれます。

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レセコン「ORCA」について

日本全国すべての医院、医療機関で、だれでも自由に使うことができ、しかも改良可能なオープンソースなレセコンソフトであるORCAについて、その詳しい特長などについて解説します。なお、ORCAには、前述のとおり、現在歯科用はありませんのでご注意ください。

サービス利用料

基本サービス

1医療機関当たり2,200円(税込)(端末の台数にかかわらず一律)

セキュリティサービス

月額利用料550円(税込)・・・利用端末ごとに設定する証明書の枚数分の契約が必要ですが、10枚までは上限が月額2,200円(税込)となり、以降10枚単位で月額2,200円(税込)が加算されます

製品の特長

ORCAプロジェクトは発足から20年以上経過し、日医標準レセプトソフトORCAは、次世代となるWebORCAクラウド版に進化しました。その主な特長は次のとおりです。

クラウド版(旧)との違い

動作速度が大幅に向上し、ブラウザで利用可能になりました。サービスの価格体系もシンプルになり、院内にサーバを置くオンプレミス(院内型)として利用できます。

利用シーンが広がる

さまざまなOSハードで利用できますので、端末の代替機が容易に準備でき、院内のサーバが減って省スペースになりました。モバイル対応のため在宅や往診先でレセプトや請求書の発行ができます。

安心・安全に利用できる

携帯電話の回線スピードでも利用可能です。電子証明書が端末を守るります。レセプトデータは医療機関ごとに独立して管理され、患者の基本情報は暗号化して守られます

医療連携に参画しやすい

地域医療連携/多職種連携に参加しやすくなりました。組織でのグループ内連携が容易に構築できます。医療・介護の連携が容易になり、医学の向上など公益に資する研究に参加しやすくなりました

メンテナンス負担を軽減

クラウドサーバで一括管理されますので医療改定に伴うプログラムの更新作業が不要になります。医療費助成制度(地域公費)への対応が業界随一であり、制度改正に伴うプログラムが無償で提供されます。

クラウドサービスが広がる

日本医師会ORCA管理機構の各クラウドサービスが一緒に利用できます。多くの電子カルテや周辺機器と連携できますので、いろいろな医療クラウドサービスとの連携が期待されます。各種電子加算への対応やこれから始まる電子処方箋などに対応できます。

「ORCA」の評判・導入事例

はじめての電子カルテ導入は成功

電子カルテシステムを検討していて、ORCAとも連携できるとの紹介を受けて導入を決定しました。ORCAは導入実績も多かったからです。院内ではLAN工事を行う必要がありましたが、建物の構造上、工事が難しく非常に苦労しました。

ORCA導入後は、安定して稼働しています。ORCAは比較的改定対応や点数対応の操作が簡単で、事務職員は喜んでいます。

参照元:株式会社ソフトテックス公式サイト/導入事例(https://www.softtex-orcare.jp/case/kubota.html)

業務効率化が進む

ORCA導入前は、大手メーカーのレセコンを使用していましたが、そのレセコンが更改時期を迎えたタイミングで、TCO(Total Cost Ownership)の観点でORCAを採用しました。当時としては、それまで使用していた大手メーカーのレセコンよりも維持管理負荷(バージョンアップ作業等)が小さいことも理由でした。

ORCA導入後は、医師のカルテ作成業務と事務スタッフの会計業務も効率化が図られています。また、紙カルテの保管スペースを年々削減することができています。初期導入時には、紙カルテ自体の「導線」を分析し、最小のクライアント台数で運用を開始しました。

しかし、運用が本格化するにつれて、さらなる「情報共有」「コラボレーション」強化の必要性を感じ、随時クライアントを増設しました。結果的に、スタッフ人数比では多めのクライアントになりましたが、適切な台数であると感じています。

参照元:株式会社IDK(アイディーケー)公式サイト/お客様の声(https://www.idkcorp.com/orcalp/)

これを選べば間違いなし! 【診療科目別】
歯科レセコン3

分かりづらい歯科用レセコンを、診療科目別におすすめの3製品で比較してみました。
ターゲットや診療内容に合わせて適切なレセコンを選びましょう。

一般歯科・小児歯科
におすすめ
柔軟なカスタマイズ性と
直観的で簡単な操作性

FLEX NEXT-Pro

FLEX NEXT-Pro
画像引用元:ウィルアンドデンターフェイス公式HP
(https://denf.co.jp/)

特徴

電子カルテ・診療計画・予約・リコールなどの定番機能を備えた上で、部位を選ぶだけでカルテを開かず処置履歴を検索できるなど、使いやすさを追求

電話や遠隔操作サポートで安心。

システム:オンプレミス型

矯正歯科・審美歯科
におすすめ
画像の比較や
編集機能が豊富

oassis

Oassis
画像引用元:Oassis公式HP
(https://o-assis.com/)

特徴

ゴム掛け処置など矯正歯科に特化した記録システム。

画像の編集、手書き、比較、AIによる自動分類、自由配置の組写真など、患者に分かりやすく説明できる機能が多い。

システム:クラウド型

口腔外科・総合病院
におすすめ
医科との連携で
業務を効率化

With

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画像引用元:メディア株式会社公式HP
(https://www.media-inc.co.jp/product/hisw/)

特徴

医科と歯科でカルテや運用方法を使い分ける必要がなく、二重管理によるミスやトラブルを防ぐ

予約や会計を医科と一本化でき、入院患者にも対応可能。

システム:オンプレミス型