令和6年度の診療報酬改定は、いくつかのポイントがありますが、本記事では歯科におけるオンライン診療などを、ピックアップして解説していきたいと思います。その他のポイントやオンライン資格確認の原則義務化についても触れています。
オンライン診療の診療報酬改定の内訳とは(情報通信機器を用いた歯科診療に係る評価の新設)
初診料 (情報通信機器を用いた場合) | 233点 |
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再診料 (情報通信機器を用いた場合) | 51点 |
歯科特定疾患療養管理料 (情報通信機器を用いた場合) | 148点 |
小児口腔機能管理料 (情報通信機器を用いた場合) | 53点 |
口腔機能管理料 (情報通信機器を用いた場合) | 53点 |
歯科遠隔連携診療料 | 500点 |
診療報酬改定のポイント
情報通信機器を用いた歯科医療の推進
最初のポイントは、上記のように新設された情報通信機器を用いた歯科医療の推進です。「情報通信機器を用いた歯科診療の実態を踏まえ、継続的な口腔機能管理を行う患者及び新興感染症
等に罹患している患者に対する情報通信機器を用いた歯科診療を行う場合の評価を新設する」との主旨から、上記の評価が新設されました。
医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組
次に医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組があります。これは「標準的な感染防止対策を日常的に講じることの必要性、歯科医療機関の職員や歯科技工所で従事する者の賃上げ等の観点から、初再診料を見直す」ことが具体策として挙げられています。また、「歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る項目の評価の引き上げ」も実施されており、。支台築造(1歯につき)・金属歯冠修復(1個につき)・有床義歯などの評価の引き上げが実施されています。
医療DXの推進
次のポイントは、医療DXの推進です。こちらは主にマイナ保健証を中心としたものになっていて、「医療DX推進体制整備加算により、マイナ保険証利用により得られる薬剤情報等を診察室等でも活用できる体制を整備するとともに、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスの整備、マイナ保険証の利用率を要件とし、医療DXを推進する体制を評価する。」としています。具体的には、医療DX推進体制整備加算・医療情報・システム基盤整備体制充実加算の評価見直し、そして、在宅医療DX情報活用加算の新設などがあります。
継続的・定期的な口腔管理による歯科疾患の重症化予防の取組の推進
こちらのポイントとしては、「かかりつけ歯科医機能の評価の見直し」がキーとなります。「小児口腔機能管理料及び口腔機能管理料にかかりつけ歯科医による評価の新設」・「初期の根面う蝕に対する非切削による管理(65歳以上の患者に限る。)及びエナメル質初期う蝕の管理に対する評価と併せて口腔管理体制強化加算の新設」などの評価新設がありました。
オンライン資格確認の原則義務化により変わること
オンライン資格確認等システムを通じた情報活用に係る現行の評価の廃止
2023年4月からのオンライン資格確認の原則義務化により、従来の資格確認等システムを通じた情報活用に係る現行の評価は、廃止されます。具体的には、2022年10月から「電子的保健医療情報活用加算」は廃止され、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設されました。時限的な措置としては、健康保険証やマイナ保険証の提示によって、初診時4点が6点へ、再診時も月1回に限り2点が算定可能となっています。
義務化への資金
オンライン資格確認等システムへの導入資金はシステム状況などによっても異なります。ただ、参考としては、以下のようになります。
- 資格確認端末関係:14.1~23.8万円
- レセコン等の既存システムの改修要因のパッケージソフトの購入及び導入:8.9~24.7万円
- ネットワーク設定作業:3.7~13.4万円
- 院内ネットワーク関連機器:1.1~8.3万円
導入資金に対する補助金制度もありますが、2023年3月末までに補助対象となる事業を完了し、2023年6月末までに補助金の交付申請を行う必要があり、現在では申請できません。
医療DX化は避けられない情勢
今回の診療報酬改定や、オンライン資格確認の原則義務化により、もはや医療DX化は避けられない情勢となっています。しかし、この改革により結果的には大きな効率化につながります。初期投資はあると思いますが、積極的に推進していくことをおすすめします。