停電時に考えられるレセコンへのリスク
データ損失・破損
落雷や台風、地震などが原因で突然の停電が発生した場合、レセコンのシステムが通常の手順でシャットダウンされずに停止してしまうケースがあります。こうした場合、データを書き込み中あるいは処理中であったファイルやデータベースが破損する場合があるため、注意が必要です。さらに、保存前の情報が消失することも考えられます。
診療や会計が中断される
レセコンは、患者の受付から診療内容の入力、会計処理まで幅広く使用されます。停電の間はこれらの処理が一切行えなくなるため注意が必要です。
停電から復旧した後もシステムが正常に再起動しなければ、クリニックの稼働に大きな支障が出ます。停電時間が長いほど、患者対応が滞り、受診した患者の不満にもつながる恐れがあります。
レセコンでの請求業務の遅れにも注意
請求業務の遅れによって、診療報酬の支払いの遅延などが発生する可能性があります。特に月末の締め切り間近の状況ですと、請求データ送信が間に合わず、収益に影響を及ぼすリスクも考えられます。
復旧時のHDD損傷
停電から復旧時、急激に電流が流れ込むことでサージ電圧が発生することがあります。レセコンのHDDやネットワーク機器が損傷を受けると、レセコンのデータが読み込めなくなる、院内ネットワークが使えなくなるなどのリスクがあります。サージプロテクターなどの装置がない場合は注意しましょう。
セキュリティのリスク
停電が原因で、パソコンやネットワーク機器のセキュリティソフト・ファイアウォールが稼働しなくなることがあります。結果、ウイルス感染などのリスクが増大する場合があるのです。
停電時の対策は?
無停電電源装置(UPS)の導入
無停電電源装置とは、停電など電源に異常が現れた際、一時的に電力を供給して機器のデータなど保護する装置のこと。停電発生時には機器のバッテリー電力でレセコンのシャットダウンを安全に実行できるため、データ破損のリスクを軽減できるでしょう。
また、サージプロテクター機能のある装置であれば、ハードウェアの故障リスクも抑えられます。
定期的にバックアップを取る
データをバックアップしておけば、データ消失などのリスクに備えることができます。バックアップの方法として、クラウドバックアップを利用しデータをクラウドストレージ内に保存するなどの方法が挙げられます。
非常用の電源設備の設置
非常用の蓄電池や発電機を導入することで、停電が長時間に及んだ場合にも診療や請求業務などを継続しやすくなります。ただ、発電機や蓄電池は高額な機器もあるため導入コストに注意が必要です。
車でクリニックに通勤している人であれば、電気自動車を導入するという方法も挙げられます。非常用電源として電力を供給できるほか、補助金などを活用してある程度コストを抑えることも可能です。