ここではレセコンを活用した歯科医院の業務効率化について解説。電子レセプト業務だけでなく、経営分析機能や患者さんへ提供文書の作成機能を使って、業務負担を軽減する方法をご紹介します。
電子レセプト業務の効率化
社会保険診療報酬支払基金がまとめた資料によれば、令和5年2月診療分の歯科における電子レセプトの割合は92.1%。その内訳はオンラインによる請求33.5%、電子媒体による請求が58.6%となっており、導入率が高いことがわかります。
そのためレセプトを点検・作成してくれるレセコンは歯科医院にとっては必須の存在となっています。歯科医院のスタッフは時間との戦いで、レセプトに記入漏れやミスがあると返戻されるため業務負担軽減のための重要な役割を担うからです。
レセコンには返戻の訂正や算定漏れを防止することで収益の取りこぼしをなくしたり、カルテ内容の点検など、毎月の請求業務処理をスムーズに進めるためのサポート機能が搭載されています。
また電子カルテとの親和性も高く、連動したり一体化することで歯科業務の効率を大幅に向上させることが可能です。レセコンによる業務効率化は人手不足の解消や、離職・退職率の低下にもつながります。
経営分析機能で効率化
歯科業務は治療を行うことは当然ですが、その他に新患の獲得やリコールなど経営面でもやることが多く大変です。レセコンはレセプト作成など事務作業だけでなく、そうした経営サポートツールとしても活用できます。
レセコンの中には経営分析機能が付いているものがあります。レセプト請求業務に関連するデータを活用して新患数の動向やスタッフ別の売上を算出するなど多角的に現状分析を行うことで課題解決に結びつけることが可能です。
歯科医院は激しい競争にさらされています。都市部においては、すぐ近くに別の歯科医院が開業することも珍しくありません。そのため一般企業と同じようなマーケティング手法を導入することが求められています。
モノを販売する業態ではありませんが、レセコンで蓄積されるデータを活用して経営の現状や患者ニーズを把握し、新患数を増やす対策や設備投資に目を向けることで歯科医院の経営安定につなげることができるのです。
患者さんへ提供文書の作成
患者に治療方針や内容について正しく理解してもらうことは非常に重要です。患者が治療が完了するまでどのくらい時間がかかるのか、どうしてなのか理由を知ることは、安心感を与えるだけでなく無断キャンセル防止にもなります。
口頭のみの説明だけでは不十分なため、歯科医院では提供文書を準備します。それにより患者に歯や歯ぐきの状態を理解してもらい、歯みがきや歯の手入れに役立ててもらうことが可能になります。
しかし手書きで個々人に提供文書を作成するのでは、歯科医院の負担を大きくしてしまいます。そうした患者提供文書の作成を効率化できるのもレセコンの特徴の一つです。患者名の反映や定型文により簡単でわかりやすい文書が作成できます。
患者提供文書には保険治療で提供が義務付けられている文書と歯科医院独自の文書があります。レセコンを選ぶ際には、自院に合った提供文書作成が可能かどうかも大切なチェックポイントです。