歯科医院の経営改善を目指すためには、レセコンから得られる客観的な数値を有効活用することが大切。レセコンを活用した経営改善のポイントについて解説します。
歯科クリニックの経営改善ポイント
バイアス(思い込み)を捨てて数値で経営の現状を把握する
たとえば、歯の欠損に関する相談に来訪した患者に対してインプラントを提案した場合、提案数に対してどの程度の比率の患者が、実際にインプラントを受けるでしょうか?
「5%くらいですかね」と回答する医師もいれば「10%くらいは受けていると思う」と回答する医師もいるでしょう。歯科医院経営においては、この「くらいですかね」「思う」が問題です。なぜなら、この比率は医師のバイアス(思い込み)だからです。バイアスを前提にしている以上、効果的な経営改善は難しいでしょう。
提案してインプラントを受けた患者の比率については、レセコンを確認すれば一目瞭然。インプラントに限らず、何を判断するにしても必ず客観的な数値で経営の現状を把握する姿勢が大切です。
パレートの法則に基づいて重視すべき事項を検討する
パレートの法則とは、世の中の多くの現象が「8:2」の比率に近くなるという考え方のこと。よく言われる例が、「会社の売上の8割は、全体の2割の社員が稼いでいる」というものです。
歯科医院の診療においても、この法則は参考になります。矯正などの専門特化型歯科医院でない限り、診療報酬の8割は全体の疾患の2割から得られる、と考えてみましょう。正確に8:2の比率になるわけではありませんが、パレートの法則に従ってレセコンから得られる数値を分析すれば、重点的に取り組むべき診療の種類が見えてくるはずです。
診療圏分析と実績データを比較して問題点を洗い出す
診療圏分析とは、1日の外来患者数に関する特定地域のポテンシャルを把握するための分析のこと。クリニックを開院する際、診療圏分析を通じて開院地域を検討した先生も多いことでしょう。
診療圏分析は、開院後も定期的に行うようおすすめします。なぜならば、分析した数値とレセコンから得られる実際の数値との間に乖離が見られた場合、クリニックに何らかの問題が潜んでいることが想定されるからです。経営改善に向け、どこに力を入れるべきかのヒントを得られるでしょう。
経営の改善策はレセコンの数値の中にある
客観的な視点から現状を直視することが、歯科医院の経営改善に向けた基本的な姿勢です。歯科医院経営にとって、現状を示した客観的な資料はレセプトに他なりません。レセコンを有効活用し、医院の経営改善に役立てていきましょう。